【精神科医に学ぶ】「アウトプット」でDTMの学びを3倍にする方法

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みなさん、音楽制作ははかどってますでしょうか!

始めた当初はモチベーションも高いですよね。

でも、DTMを続けているうちにこんな悩みを持ったこと、あるのではないでしょうか?

「勉強してもすぐ忘れちゃうし、覚えることが多すぎて心が折れそう…」

「この情報、役に立ちそうなのはわかるんだけど、結局どんなメリットがあるパカ?」

僕自身何度も経験していることなので、このような気持ちは痛いほどわかります…

ですが、これ、実は「アウトプット」を使うことで体感で「3倍」くらい効率化できるんです。

ここでいう「アウトプット」とは、情報のアウトプットであり、「インプット」中心の詰め込み学習と対を成すものと思っていただいて構いません。

精神科医の樺沢紫苑氏による『学びを結果に変えるアウトプット大全』では、そのような「インプット過剰」を「アウトプット」によって解決するアドバイスが、(主にビジネスパーソン向けに)紹介されています。

ただ、「DTM」や「音楽制作」という分野においては、何が適切なアウトプットで、どうすればアウトプットの効果を享受することができるのかわからないですよね?

そんなわけで、音楽制作の観点から「アウトプット」をとらえ直したのがこの記事です。

DTMや音楽制作に役に立つ「アウトプット」の仕方を、私見を交えながら紹介していきます。

では、まいります!

目次

はじめに

同著作では、「アウトプット」を「話す」「書く」「行動する」の3つのテーマに分類しています。

ここでは、それを音楽制作に応用し、「創る」「完成させる」「磨く」「リリースする」「学ぶ」という5つのテーマに再構成してみました。

以下、順に説明していきます。

創る

まずは、音楽制作の根幹である、「作詞」「作曲」などの「創る」プロセスから。

「インプット」と「アウトプット」:黄金比の理解

DTMerは、絶え間ない「インプット」を求められています。

DAWの新機能の理解、各種FXや新しい音源の習得、楽器や歌の練習、それに作曲やアレンジに対する考え方の更新などなど。

「インプット」すべきことが多すぎるくらいです。

しかし、「インプット」は情報が自分の中にとどまるだけで外的な責任を伴わないので、これはある意味「楽をしている」ともいえるのです。

では、インプットとアウトプットの理想的な配分とは、一体どのくらいなのでしょうか?

一般的には「7(インプット):3(アウトプット)」が多いようですが、『アウトプット大全』では「3(インプット):7(アウトプット)」が理想的な比率であると説明されています。

言い換えると、インプットの2倍以上の時間をアウトプットにかける、ということですね。

そのため、「なにかをマスターしたいと思ったら「まず、アウトプット」せよ!」というが正しい行動指針なのではないでしょうか。

こと音楽制作においては、以下のような行動がアウトプットになりえるでしょう。

音楽制作における「アウトプット」例

・覚えたことを制作中の曲に取り入れてみる
・楽器、歌、サウンドデザインを練習・発表する
・ブログやSNSで他人に情報を紹介する
・知り合いのミュージシャンと話して情報を共有する
・(レッスンができる立場にある人は)人に教える
・解説動画をYouTubeにアップする

要は、情報というものは「入れるより出す方が大事」ということですね。

最適な頻度

「2週間に3回使った情報は、海馬から側頭葉に以降し長期記憶として脳に定着する」ことが科学的にも実証されているそうです。

ですので、「2週間内に3回同じ情報をアウトプットする」が最も効果が高いといえるでしょう。

最適なアウトプット

また、DTMerにとって最大の成果とは、制作したものをリリース(公開)すること、あるいはクライアントに納品することではないでしょうか?

とはいえ「作詞」や「作曲」などのクリエイティブな作業は好不調が激しいので、毎日の習慣にするのがオススメ。

もちろん、1曲丸々ではなく一部分、1アイデアだけでもよいと思いますよ。

こうすることでアイデアをカタチにし、記録しておくことができます。

記録する際は、ファイルに命名規則を設けておくと後々わかりやすいかもしれませんね。

まとめましょう。

まとめ
  • 「作詞」や「作曲」は毎日の習慣に
  • プロジェクトやファイルは命名規則を設けて保存

ファイルを保存するときは、「日付、ジャンル、キー、拍子、雰囲気、BPM、5段階評価」などを入れておくと後で識別しやすいです。
(例:20240101_Hiphop_Fm_4-4_Sad_BPM120_#5)

溜まっていくと後々使える、「自分だけのネタ帳」になってくれますよ。

ちなみに、習慣化についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、よければ併せてご覧ください。

ひらめきを生む4つのプロセス

さて、いざ「いい曲・いい詞を書くぞ」と楽器やDAWに向かっても、ひらめきは必要なときに限ってやって来てはくれないものです。

なぜでしょう?

それは、「そういうものだから」です。

児童文学で有名なドイツの大家、エーリヒ・ケストナーは『エーミールと探偵たち』の中でこう書いています。

なにしろ、そろりとやってきた考えや思いつきは、まるでいじめられつけた犬みたいなものだからだ。

こっちがいきなり動いたり、話しかけたり、なでたりしようとすると、ひゅっと逃げてしまう!

でもおそるおそる戻ってくるまで待っていたら、こっちがさびついてしまう。

エーリヒ・ケストナー『エーミールと探偵たち』

ひらめきとは、このようなプロセスを経て初めてやって来てくれるらしいです。

とてもシャイな奴なのでしょう。

ひらめきが生まれるのを段階的に表現したものがこちら。

ひらめきの段階

ステージ1:ひらめくまでの悪戦苦闘
ステージ2:アイデアの孵化
ステージ3:ひらめき

気になるのは、ステージ2です。

ここは脳の「デフォルトモードネットワーク」という機能が作動する時間で、それをうまく使うことが鍵になってきます。

デフォルトモードネットワークとは

簡単に言うと、「ぼんやりとしているときや睡眠中の脳が示す神経活動」です。

つまり、問題と徹底的に向き合ったら、「ぼーっとする」のが良いということですね。

何も考えないことによって、脳内が「デフォルトモードネットワーク」というアドレナリンのような状態になり、脳が自動的に情報の統廃合をおこなってくれます。

あくせく考え続けるより、ぼーっとする方がよい、これ、みなさんも覚えがあるのではないですか?

ただ、残念なことに、ぼーっと時間がどのくらい必要かは定かではないのですよね。

10分後かもしれないし、2、3日後、1週間、半年経ってからかもしれません。

ただ、ひらめきは少し遅れてあなたの脳を「コンコン」とノックしてくるということ。

ケストナーのいうように、そのタイミングを逃さずとらえましょう。

一般的に、「Bathroom(風呂)」「Bus(乗り物)」「Bed(ベッド)」「Bar(酒の席)」という「4B」がひらめきによいとされています。

ただ、個人的には、4Bに加えて「料理」もぜひ入れておきたいところです。

「4B+C」ですね。

ひらめきを生みやすい状況(改)
  • Bathroom(風呂)
  • Bus(乗り物)
  • Bed(ベッド)
  • Bar(酒の席)
    +
  • Cooking(料理)

意外と使える!?TO DOリスト活用術

TO DOリストは誰もが知っている定番中の定番ツールですが、適切な使い方をしている人は少ないそうです。

アウトプット大全』によるとTO DOリストの作成は朝一でやるべき最重要タスクだそう。

そして、TO DOの原則は3つあります。

オンラインではなくオフラインで管理するのが最大のポイントかもしれません。

紙だと手元に置いておくとすぐに見れるだけでなく、終わり次第ペンでビビッと消すことで達成感が得られるのが良いのですよ。

TO DOの3原則

1. 紙に書く/印刷する
2. 常に机の上に置いておく
3. 達成したら豪快に斜線で消す

音楽制作に直接関係はありませんが、日々のやるべきことと達成項目を明確にするという一種の管理手段として大いに活躍すること間違いなしです。

参考までに本で紹介されているTO DOリストのサンプルを記載しておきます。

著者のメーリングリストに登録すれば、PDF化したものをもらえるので、そちらを活用するのもよいでしょう。

AM1
AM2
AM3
PM1
PM2
PM2
スキマ1
スキマ2
スキマ3
その他1
その他2
その他3

■懸案事項
懸案事項1
懸案事項2
懸案事項3

完成させる

目指せ!「30点の完成品」

あなたは「完璧主義者」ですか?

実は、以前まで僕もそうでした。

作品数が少ない人は、完璧主義に陥ることが多いように思います。

しかし、実際には最初から100点を目指すより、30点でいいから「まず完成させる」方がうまくいくことが多いようです。

工業製品ならモックアップ、翻訳なら下訳と、とりあえずいったん全体を終わらせて、ブラッシュアップに時間をかければより良いものができます。

時間配分的には、「まず完成」と「ブラッシュアップ」の比率は5:5くらいが最適なようです。

「情報カード」の活用

制作中にこんがらがったアイデアを整理するのに有益なのが、「情報カード」を使った整理法。

やり方はとっても簡単。

100均で売っているような情報カードを購入して、テーマに関して思いつくことを書き出していくだけでOKです。

ざっくり、以下のような感じです。

情報カード活用法

1. 30個書き出す
2. 書き出した内容から連想して、さらに書き出す
3. 最終的に100個ほど書き出す
4. カテゴリーごとに分類する

例えば、制作中の楽曲やリリース予定のアルバムがあるとしましょう。

その場合、例えば、それに関するテーマ(決まっていればタイトルでもいい)から連想することを書き出していくことができるはずです。

最終的にはピラミッド図やマインドマップなど、抽象度の高いものに、より具体的なものを紐付けていけば、イメージ全体を構造化することができますね。

目標を実現する5つのルール

音楽制作に取り組むときは何らかしらの目標があると思いますが、その場合はできるだけ具体的な目標を立てるようにしてください。

なぜかというと、目標が具体的になるほど「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」などの脳内ホルモン、つまりやる気スイッチがオンになるからです。

具体的にする方法は、以下の5つ!

目標の具体化
  1. 難易度を「ちょい難」に
    難しすぎるとモチベーションの源となるホルモン「ドーパミン」が分泌されなない。
  2. 締め切り設定
    時間的な制約によって集中力を高めるホルモン「ノルアドレナリン」が分泌される。
  3. TO DO化
    「名詞」や「形容詞」を数値化することで行動力しやすくなる(曲をたくさん作る→x月x日までに曲のアイデアをxつ作る)。
  4. 客観的指標
    後でトラッキングして改善や修正ができるように、定量化しておく。
  5. 目標の細分化
    小さければ小さいほど実行しやすい。また、達成していくことで「ドーパミン」が分泌される。

個人的に、わかりやすく効果が大きいのは2の「締め切り設定」かなと思います。

そこでまず逃げ道を断ってから、他の項目で細部を追い込んでいくのがよいかもしれません。

また、「他人に宣言する」のもかなり有効ですよ。まったく白紙の状態でも、SNSで「来月新曲リリースします!」というとやらざるを得なくなりますからね。ただ経験者としてのアドバイスですが、無茶な宣言を実現しようとするととんでもなくしんどくなるのでご注意ください笑

磨く

ビジョンを描く

アウトプット大全』では、人を率いるための方法として「ビジョン」を挙げています。

音楽制作の観点で捉えると、「ビジョン」とはリリースした作品でリスナーをどのように動かすかという視点である、と考えることもできるかもしれません。

「ビジョン」と「目標」は混同しがちですが、内容を要約すると以下のようになります。

まとめ
  • ビジョン:未来の理想像、他者/社会貢献、協力、応援、自発的、能動的
  • 目標:現実的な目標、実利/功利的、受動的、非積極的

つまり、(楽曲提供などではなくアーティスト目線の話に限りますが)独自の未来を描けている個性的なアーティストの方が、売上第一のアーティストよりもリスナーと長期的に深い関係を気づけるのではないかということです。

みなさんの大好きなアーティストさんはどうでしょうか?

ビジョンを描くのは自由ですし、正しい方法があるわけではありません。

ですが、例えば上述の「情報カード」による世界観の構造化や、ビジュアルが得意な人は写真やイラストでムードボードを作るのは一考の余地ありでしょう。

マニアックでいこう!

「ビジョン」の内容とも一部関係しますが、例えばブログなどでは、記事の内容はマニアックであればあるほど読者からの反応も高いといいます。

つまり、万人受けを狙うよりも、自分の好きを生かした内容がよいということですね。

執筆のコツは、自分の意見や感想、そして「気付き」を入れること。

それによって読者に共感が生まれ、さらにうまくいけば読者の「感情」と「行動」を動かすことができるといいます。

音楽に置き換えると、クライアントがいる場合は「ありがちなものの方」が受け入れられやすいかもしれませんが、「ファンを生む」アーティストならば当然こだわりのあるもののほうが強くリスナーを引きつけるということです。

「売れたい」が先行してしまう人も多いと思います。

ですが、万人受け狙いはリスナーのみならず、自分にとっても最適解ではないのかもしれませんね。

リリースする

ザイオンス効果の力

ところで、心理学の有名な法則に「ザイオンス効果」というものがあるのをご存知でしょうか?

人間関係において、接触回数が増えるほど人の好感度が高くなる現象のことです。

つまり、コミュニケーションでは頻度・量が重要だということです。

意外ではないだろうか?

月に一回の深い付き合いより、1日5分の浅い付き合いのほうがコミュニケーションは深まるといいます(もちろん付き合い方で大きな差は出ると思うのですが…)。

つまり、音楽が不特定多数を対象としたコミュニケーションだとすれば、内容に多少難があったとしてもリスナーに届く回数が多いほどよいということです。

だとすれば、「メジャーなアーティストはリリース頻度が少なくてもOK」でも、「マイナーなアーティストはたくさんリリースしたほうがよい」という結論になりそうですね。

つまり、売れてない人ほどできるだけ短いスパンでたくさんリリースした方がよいのです。

難しいですけどね。

リスナーは、私たちが思うほど気長に待ってはくれないのかもしれません。

あなたの音楽はいつ売れるのか?

ともあれ、リスナーが僕らのフィジカル(CDなどの物販)を購入したり、配信で聴いてくれるのはどんなときなのでしょうか?

実は、それは以下の簡単な数式で表すことができます。

価値 > 価格 = 課金

つまり、「価値」が「価格」を上回ったときにのみ、リスナーはあなたの商品を買ってくれるのです。

自分の音楽や活動は、リスナーの価格に見合うだけの価値を提供できているでしょうか?

今一度、自分に問いかけて考えてみましょう。

学ぶ

教科書より問題集


ワシントン大学の研究によると、記憶だけを続けるより、一旦記憶したら問題を解く方に重点を置く方が効果的だそうです。

先に紹介したように、インプットとアウトプットの黄金比が「3:7」であることを踏まえると、一度覚えたことを覚え直すより倍の時間を使って問題を解く、つまり知識を消費することで記憶は定着するともいえます。

DTM関連の本や動画をチェックしたら、すかさず「アウトプット」する癖をつけましょう。

「2週間に3回使った情報は、海馬から側頭葉に以降し長期記憶として脳に定着する」ので、目標は「2週に3回」ですよ!

記録の力

また、目標達成には「記録」が効果的です。

記録をつけるということはつまり数値化/定量化することであり、問題を可視化することに他ならないので。

アウトプット大全』ではYouTubeのフォロワー数が例に挙げられています。

フォロワー数が増えていることが実感できれば、ドーパミンが分泌されやすくなるというわけです。

数字を記録するだけで脳のテンションが上がるのであれば、やらない手はないでしょう。

個人的にこのような定量化は簡単な割に、やる気が高まったり、達成感があったりで非常に効果が高いと感じています。

モチベーションを上げるのが苦手な方は、ぜひ一度お試しください。

スマホは「アウトプット」機器

誰にでも、毎日の中で5分〜15分くらい「スキマ時間」といえる時間があるのではないでしょうか。

多くの人はそこでニュースや記事、動画などを見るインプットに費やしていますが、アウトプットを伴わないインプットは「忘れるための記憶」であり、意味がありません。

何が言いたいかというと、つまり、スキマ時間はアウトプットをすべきだということです。

本や映画の感想、ニュース、学んだことの気づきなど、3行でよいので「書くアウトプット」をしましょう。

覚えたことを3行感想でスマホのアプリや手帳に書き留めるか、SNSで投稿するのもよいかもしれませんね。

文章アウトプット用テンプレート

さらに、本やネットの情報を読んだら、感想文を書くと記憶に定着しやすくなります。

感想を書くことで本の内容が整理され、内容をより深く理解できるからです。

とはいっても、一体何を書けばよいか?

答えは簡単。

本や情報を、「読む前」と「読んだ後」について書けばよいのです。

読んだ後は、本や情報を読んで気づいたことと、今後どうしていきたいかという2点に分けられます。

結果、3つの点について1行ずつ書けばOKですね。

まとめ

1. ビフォー
2. 気付き
3. TO DO

これで骨組みができるので、後はここから肉付けしていけばばっちりです。

本を読んだことで自分がどう成長したかを言語化し、さらに進化を重ねていきましょう。

まとめ

今回は音楽制作やDTMにおける「アウトプット」について解説しました。

「アウトプット」という行為を通して体内の脳内ホルモンをうまくコントロールすれば、日々のモチベーションを高く保ち、今よりも良質の曲をたくさん作れる可能性があります。

さらに、「アウトプット」以外にも、活動を習慣化することによって問題を打破するアプローチもあります。

こちらで詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

また、音楽制作には環境を整えることも重要ですので、よければこちらもご参照いただければ幸いです。

以上です。

「アウトプット」、ぜひみなさんもぜひ試してみてくださいね!

本記事で書ききれなかったことも多いので、興味を持った方はぜひ原著もあたってみてください。

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音楽制作、がんばりましょう!

以上、リュウでした!

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